荻須高徳の略歴とキャリア

1901年、愛知県稲沢市に生まれる。1922年に東京美術学校(現・東京藝術大学)西洋画科へ入学し、1927年に卒業。
その年、念願の渡仏を果たし、パリにて画家としての第一歩を踏み出します。
1928年には「サロン・ドートンヌ」に入選し、1934年にはジュネーヴで個展開催。初期は佐伯祐三の影響を受けた力強いタッチの都市風景を描いていましたが、次第に落ち着いた色調と抑制された構成美を確立していきます。
第二次世界大戦による一時帰国を経て、1948年には再びパリへ。以後、生涯をフランスで過ごしながら制作を続け、日本とフランスの架け橋として独自の画風を磨き続けました。
1981年には文化功労者に選出され、1986年に逝去。死去と同日に文化勲章が追贈されました。

荻須高徳の作風とテーマ

荻須の画風は、静謐な都市風景が中心です。
彼が描いたのは、セーヌ川沿いの名所や観光地ではなく、石造りの建物、裏通り、古びた看板、人気のない広場など、日常の一片に宿る時間の積層でした。
初期には佐伯祐三のような強い筆致と色彩を用いましたが、戦後はモノトーンに近い色彩と緻密な構成で、街そのものの沈黙を描くような表現へと変化。
画面には、まるで音のない詩のような空気が漂い、「都市の呼吸」を感じさせる作品群として高く評価されました。

代表作紹介:荻須高徳の作品世界

●《パリの裏通り》《古い看板のある道》
静かな街角を抑制された色彩で描いた荻須の代表的モチーフ。遠近法と構図の巧みさが光る。
●《モンマルトルのアトリエ》《曇りの日のカフェ》
パリの風情と人の気配をほのかに残した作品群。生活の匂いと時間の静けさが混ざり合う。
●《アルザスの通り》《リヨンの朝》
フランス地方都市の一場面を描いたシリーズ。パリ以外にも眼差しを広げた晩年の作品群。

市場での評価と高まりつつある荻須高徳作品の価値

荻須高徳の作品は、日本洋画の中でも国際的評価が高い作家として、長く安定した人気を保っています。
とくに戦後以降のパリ風景は市場での取引実績も多く、油彩作品は500万〜2,000万円以上での評価もあります。
また、画廊・美術館主導の展覧会やカタログ掲載作、サイン・裏書・制作地の記録が明確な作品は、美術館収蔵候補としても扱われやすく、資産価値の観点からも注目されています。

荻須高徳作品の買取市場での傾向

以下のような作品は特に評価が高まっています。

⚫︎1948年以降の再渡仏以降に描かれたパリ風景(モンマルトル・裏通り・カフェなど)
⚫︎サロン・ドートンヌや個展出品歴あり/フランス国内評価の高い作品
⚫︎緻密な構図・落ち着いた色調・サイン・裏書明瞭な真筆作品
⚫︎油彩のほか、ドローイングやパステル作品でも内容と保存状態により高評価
⚫︎展覧会カタログ・画集収録歴のある来歴作品

荻須高徳を知ることは、都市の静けさを聴くこと

荻須高徳の作品は、パリの街を写しながら、それ以上に「時間の重なり」や「空気の手触り」を描いています。
そこにあるのは観光地としての都市ではなく、「暮らしの風景」としての都市。
静けさのなかに、彼のまなざしは確かに宿っています。
ご自宅・ご実家に荻須高徳作品をご所蔵の方は、ぜひ専門家による評価をご検討ください。

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