三岸節子の略歴とキャリア

1905年、愛知県一宮市に生まれる。1921年に上京し、岡田三郎助に師事。
1924年には女子美術学校(現・女子美術大学)を首席で卒業し、同年、戦前モダニズムの旗手・三岸好太郎と結婚。1930年に長男・黄太郎を出産しますが、1934年に夫が31歳の若さで死去。
夫亡きあとも、生活苦のなか筆を折ることなく制作を継続。第二次世界大戦中も疎開せず東京にとどまり、明るい色調の静物画を描き続けました。
1954年にはフランスに渡り、南仏のカーニュやブルゴーニュ地方の村に暮らしながら、ヨーロッパの風土と日本人の感性を融合させた風景画を多数制作。1994年には女性洋画家として初の文化功労者となりました。
1999年、94歳で逝去。愛知県一宮市には「三岸節子記念美術館」が設立され、彼女の足跡を今に伝えています。

三岸節子の作風とテーマ

三岸節子の作品の特徴は、繊細で明るい色彩、そして静謐な主題へのまなざしにあります。
花、果物、室内風景、ヨーロッパの村など、一見日常的な対象を描きながら、そこに宿る生きることの美しさと寂しさを、色彩の重なりによって表現します。
晩年は、老い・孤独・異国での生活と向き合いながらも、描くことを通じて自らを支えた力強い表現が評価され、女性洋画家の先達として美術史に名を残しました。

代表作紹介:三岸節子の作品世界

●《葡萄と壺》《静物(カーニュの卓上)》
戦後からフランス期にかけて描かれた静物画。明るい光と陰影、構成のバランスが美しい。
●《ヴェロンの村道》《カーニュの家並》
フランス滞在中に描かれた風景画。異国の風景に日本人の感性を投影した代表的作品群。
●《アトリエの椅子》《窓辺の卓上》
晩年の作品。限られた空間の中で豊かな内面世界を感じさせる構成。

市場での評価と高まりつつある三岸節子作品の価値

三岸節子の作品は、日本洋画史における女性画家の先駆者としての価値と、美術的完成度の高さにより、油彩・水彩ともに安定した市場評価を保っています。
特にフランス滞在期の風景画や構成力の高い静物画は人気があり、真筆の油彩は500万〜2,000万円級で取引されることもあります。
また、晩年の孤高の表現として評価される室内画や静物画も、女性作家コレクションや美術館からの引き合いが強まっています。

三岸節子作品の買取市場での傾向

以下のような条件の作品が特に評価されています。

⚫︎1954年以降のフランス滞在期に描かれた風景・静物画
⚫︎来歴が明確な真筆の油彩作品(とくに記念美術館収蔵作と類似構図)
⚫︎晩年の卓上・椅子・アトリエシリーズなど室内空間を描いた作品群
⚫︎サイン・裏書・展覧会出品歴ありのもの
⚫︎初期〜戦中の静物画は資料的価値も含めて注目されている

三岸節子を知ることは、描き続けることの強さを知ること

三岸節子の人生は、夫の死、戦争、老い、そして孤独という数々の試練のなかで、筆を置かずに生きることで自らを描き続けた道でした。
そこには、「描くことが生きること」という信念が宿っています。
彼女の色彩は、ただ美しいだけではありません。
それは人生のすべてを受け入れ、静かに強く立ち上がる意思の色でもあったのです。

三岸節子作品の無料査定はこちら

写真で簡単査定/静物・風景・フランス期の真筆に対応

買取サービス
絵画・版画・彫刻・骨董品など、幅広いジャンルの美術品を対象に、専門の査定スタッフが一点一点丁寧に評価し、適正価格で買取いたします。
ご希望に応じて、店頭・出張・宅配の各買取方法をご用意しておりますので、安心してご相談ください。
詳しく見る
取扱品目
現代アート、書画、洋画、日本画、中国美術、版画、茶道具、骨董品、彫刻など、幅広いジャンルの美術品を買取対象として取り扱っております。専門の査定スタッフが丁寧に評価し、高価買取を実現いたします。「どのジャンルが売れるのか分からない」「来歴不明の作品がある」といったご相談も、ぜひお気軽にお寄せください。
詳しく見る
取り扱い作家
有名作家から現代アートの注目作家まで、美術品買取において幅広い作家の作品を取り扱っております。
草間彌生、村上隆、東山魁夷、平山郁夫など、国内外の著名作家の買取実績も多数。
作家名が不明な作品でも、スタッフが丁寧に調査・評価いたしますので、お気軽にご相談ください。
詳しく見る
当社の強み
美術品専門の買取サービスとして、豊富な実績をもとに、幅広いジャンルの美術品を高価買取。
信頼できる査定で、現代アートや骨董品、書画なども丁寧に対応いたします。
詳しく見る
ページトップ