猪熊弦一郎の略歴とキャリア

1902年、香川県高松市に生まれる。旧制丸亀中学を卒業後に上京し、本郷洋画研究所を経て1922年に東京美術学校洋画科へ入学。
在学中は藤島武二に師事し、1926年の帝展に《婦人像》で初入選。その後も特選を複数回受賞して注目を集めました。
1936年、海老原喜之助、脇田和らと共に新制作派協会を創設。前衛的な表現を模索する場として美術界に新風を巻き起こしました。
1938年に渡仏し、パリではアンリ・マティスに学び、色彩と形態に対する新たな視座を得ます。
戦後の1950年代以降はニューヨークに長期滞在し、アメリカのモダンアートの潮流を吸収しながら、独自の抽象表現を構築。
晩年には香川県丸亀市に多くの作品を寄贈し、1991年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)が開館しました。

猪熊弦一郎の作風とテーマ

猪熊の絵画は、初期の人物・風景などの具象表現から始まり、やがてマティス的な明快な色面構成、そしてニューヨーク滞在以降はより自由な抽象表現へと展開していきます。
色彩は鮮やかで遊び心に富み、構図にはユーモアとリズム感が漂います。
また、公共空間のための壁画制作にも力を注ぎ、東京・上野駅の大壁画《自由》はその代表例です。さらに、三越の包装紙「華ひらく」のデザインを手掛けるなど、デザインや日常の中に芸術を持ち込む姿勢も特徴的でした。
表現は一貫して“楽しく、自由に、美しく”を志向し、芸術を開かれたものとする思想が、後進の美術家たちに多大な影響を与えました。

代表作紹介:猪熊弦一郎の作品世界

●《婦人像》(1926)
帝展で初入選を果たした初期具象作品。藤島武二の影響を受けた構築性と静謐な人物描写が光る。
●《自由》(上野駅壁画)
モダニズムの象徴ともいえる壁画作品。公共空間におけるアートの在り方を提示した意欲作。
●《華ひらく》(三越包装紙デザイン)
戦後日本のデザイン文化を象徴する商業アート。グラフィックと絵画の垣根を超えた実践例。

市場での評価と高まりつつある猪熊弦一郎作品の価値

猪熊弦一郎の作品は、戦後日本の抽象画黎明期を代表する作家の一人として、国内外での評価が高く、油彩の大作は1,000万〜3,000万円以上で取引されることもあります。
また、三越包装紙原画や壁画スケッチ、戦後の抽象小品なども人気が高く、保存状態の良いサイン入り真筆作品は安定した需要があります。
さらに、晩年のリズミカルな抽象構成作品や、MIMOCA関連の展覧会出品作にはコレクターからの注目も集まっています。

猪熊弦一郎作品の買取市場での傾向

以下のような条件を満たす作品が特に評価対象となります。

⚫︎1950〜70年代の油彩抽象作品(特にニューヨーク期のもの)
⚫︎《自由》や《華ひらく》関連のスケッチ、習作、デザイン原画
⚫︎新制作派協会出品歴のある作品/帝展特選受賞作・草稿
⚫︎サイン・裏書・タイトル明記・来歴明瞭な真筆作品
⚫︎アトリエ所蔵作品やMIMOCA収蔵と関連のある類似構成作品

猪熊弦一郎を知ることは、自由で開かれた芸術を知ること

猪熊弦一郎の芸術は、「枠に収まらない」ことの楽しさに満ちています。
具象も抽象も、絵画もデザインも、アトリエも百貨店も——彼にとってはすべてが“創造の舞台でした。
今、彼の絵を見るということは、自由に創ることの喜びと責任を共有することでもあるのです。

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