鮮烈な色彩で女性美を描いた洋画界の情熱家
鶴岡義雄(つるおかよしお)は、昭和から平成にかけて活躍した日本の洋画家で、特に「マドモアゼル・シリーズ」に代表される華やかで力強い女性像で知られます。
茨城県土浦市に生まれ、林武に師事して学んだ写実を基礎に、鮮やかな色彩と量感のある人物描写で独自の世界を築きました。
国内外の展覧会で数々の賞を受け、二科会を拠点に戦後日本洋画の発展に大きく貢献。晩年まで団体運営や後進育成にも尽力し、日本芸術院会員としての重責も果たしました。
⚫︎1917年、茨城県土浦市に生まれる。
⚫︎旧制土浦中学校を卒業後、日本美術学校に進学。林武に師事。
⚫︎1941年、二科展に《台湾蛮女》を出品し初入選。
⚫︎1947年、二科賞を受賞。1950年には二科会会員に推挙される。
⚫︎1974年、二科展にて総理大臣賞を受賞。
⚫︎1981年、インターナショナルアメリカ展でグランプリ受賞。
⚫︎1990年、二科展で《マドモアゼル》を出品、日本芸術院賞を受賞。
⚫︎1993年、勲四等旭日小綬章を受章。
⚫︎1994年、日本芸術院会員に就任。
⚫︎2000年、二科会理事長に就任、のち名誉理事。
⚫︎2007年、逝去(享年90)。直腸がんのため東京都にて没す。
鶴岡の作品は、「女性美」と「色彩」に対する独自の感性によって構成されています。戦後洋画に新たな表現力をもたらし、多くの鑑賞者を魅了してきました。
⚫︎マドモアゼル・シリーズに見る情熱と様式美
滞欧中に確立された代表シリーズは、モダンな女性像を明快な構成と色調で描いた名作群。
⚫︎明るく情熱的な色づかい
赤・青・黄を基調とした配色により、画面に高いエネルギーと官能美を宿しています。
⚫︎舞妓や花など、和洋を横断した題材選び
帰国後は日本の女性像も多く描き、洋画で和の美を表現することにも挑戦しました。
●《台湾蛮女》(1941年)
二科展初入選作。異国情緒と女性像を融合した初期の代表作。
●《マドモアゼル》(各年シリーズ)
フランス女性を中心にしたシリーズ作品。量感と色彩の対比が織りなす優雅な構成が見どころ。
●《花》《舞妓》《陽の女》など
女性と花を主題にした作品群は、日常の美を祝福するような明るさに満ちています。
鶴岡義雄の作品は、国内の百貨店系展覧会・コレクター市場で安定した人気を保っており、特にマドモアゼル・シリーズは鮮やかな色彩と明快な構図から高い需要があります。
⚫︎油彩作品:80万〜250万円前後(サイズ・年代・保存状態により変動)
⚫︎マドモアゼル・シリーズや受賞作に近い傾向の作品は特に人気
⚫︎花や舞妓を描いた作品も、明るい印象と飾りやすさから家庭用コレクションとして需要高い
鶴岡義雄は、洋画という形式の中で、女性というテーマを通じて色彩と構成を極限まで高めた画家です。
その作品には、時代の空気とともに、どこか永遠性を感じさせる華やぎがあります。
フランス女性のフォルム、日本の舞妓の気配、そして咲き誇る花々――。
そのすべてが、鮮烈な色と線に宿り、観る者の心を惹きつけ続けています。
マドモアゼル・シリーズ/色彩と女性美の名手の作品を拝見いたします。