堅牢な画面と旅する視線で風景を捉えた構成派の叙情詩人
浮田克躬(うきたかつみ)は、昭和戦後の日本洋画壇において、重厚なマチエール(絵肌)と構築的な画面構成を持ち味とした風景画家です。
北海道の雪景からフランスの古都、ブラジルの港町まで、彼の視線は地球を旅しながら「風景の奥にある時間と記憶」を描き出しました。
東京芸術大学(旧・東京美術学校)を史上最年少で卒業したエリートでありながら、その画面には知性と詩情が同居し、構成と感性が調和する作品群は今も多くの人に支持されています。
⚫︎1930年、東京都杉並区に生まれ、幼少期を神奈川県茅ヶ崎で過ごす。
小学生の頃、第1回聖戦美術展を見て油彩画家を志し、藤嶺学園藤沢中学在学中に小林萬吾から石膏デッサンの個人指導を受ける。
わずか15歳で東京美術学校(現・東京藝大)油画科に特例入学。安井曾太郎教室にて指導を受け、1950年に20歳で卒業。(※この記録は現在でも東京藝大の最年少卒業記録として残る)
卒業後は田崎廣助に師事し、新制作派協会や一水会展に継続出品。
⚫︎1957年には日展に初入選、1958年には一水会展で安井奨励賞を受賞。
⚫︎1959年からは北海道を取材し、代表シリーズとなる**「北の風景」を展開。
⚫︎1961年には《城砦の島》で日展・宮本三郎記念賞**を受賞し、実力派としての評価を確立。
その後もフランス、北欧、ブラジルなど海外取材を重ねながら風景画の地平を広げ、1989年に59歳で逝去。
浮田の画面は一貫して、堅牢で構築的な構成力と、重厚に塗り重ねたマチエールが大きな特徴です。
その筆致は力強く、風雪や海風を受ける街並みや自然に「時の記憶」を刻みつけたかのよう。
また、色彩は決して派手ではなく、寒色や土色を基調とした抑制された色調の中に、鋭い色彩の切れ味が光ります。
とくに「北の風景」シリーズに見られる雪原の静けさや建物の孤影は、詩的かつ厳粛な感動を呼び起こします。
●《城砦の島》
1961年、日展・宮本三郎記念賞受賞作。構築的構図と落ち着いた色調で、堅牢な画面構成が際立つ。
●《北の風景》シリーズ(1959年〜)
北海道の雪景や村落を題材にした代表作群。静謐さと物語性が画面に宿る名シリーズ。
●《欧州の街》《パリの塔》《ブラジルの埠頭》
海外取材をもとにした風景画。地勢と文化の匂いを凝縮した空間構成が秀逸。
浮田克躬の作品は、日展・一水会・新制作派での受賞歴・出品歴が明確な油彩作品を中心に、200万〜1,200万円前後の安定した市場評価を受けています。
特に《城砦の島》《北の風景》シリーズなどは、サイズと画肌の充実度により高額評価され、構成力・物質感・作家の背景が揃った作品としてコレクターからの人気も高いです。
また、スケッチ・グワッシュ・欧州取材ノートなども美術館や学校収蔵対象となることが増えています。
評価の高い対象作品
⚫︎1957年以降の日展・一水会入選作(真筆・裏書あり)
⚫︎北海道取材「北の風景」シリーズ
⚫︎《城砦の島》や欧州の港町・塔など構築的モチーフ
⚫︎重厚マチエールが明瞭な油彩(号数30以上が特に好まれる)
⚫︎渡航資料・スケッチ帳・展覧会カタログ付き資料作品
浮田克躬の作品は、ただ「風景」を描いたものではありません。
そこには風や光、記憶や孤独、そして画家の知性と構造感覚が緻密に折り重なっています。
「見る」という行為を超えて、空間と時間の重さを感じる。
それが浮田の作品と向き合う醍醐味です。
「写真で簡単査定/北の風景・欧州取材作・日展出品作すべて対応可能です。