美術品は、一度手にした後も飾って楽しむだけでなく、長く資産として保ち続けるための備えが求められます。
作品の保存状態が悪ければ市場価値は下がり、保険に加入していなければ万一の事故時に補償を受けられません。
また、相続や贈与の場面でも、美術品は正しく評価されなければ、税務リスクや遺産トラブルの原因となることもあります。
本記事では、”美術品を“守る資産”として維持していくために必要な3つの観点(保管・保険・相続)について、やさしく解説します。
美術品の価値は、保存状態に大きく左右されます。
とくに絵画・版画・日本画などは湿度や紫外線に弱く、保管環境の差がそのまま査定価格に反映されます。
🔹 基本の保管ポイント
直射日光を避ける:紫外線は色褪せ・変色・劣化の主因です。
湿度は50%前後をキープ:高すぎるとカビ、低すぎると絵具の割れを招きます。
エアコンの風や結露に注意:作品に直接風が当たると、波打ちや乾燥が進行します。
🔹 長期保管が必要な場合
温度・湿度管理が整った美術品保管専門倉庫の利用も視野に入れましょう。
複数点をまとめて所有されている方や、相続・売却の準備を検討中の方には有効な選択肢です。
美術品は火災・盗難・破損など、予期せぬ損失リスクに対して極めて脆弱です。
高額な作品を所有している場合は、専用の美術品保険への加入が安心につながります。
🔹 美術品保険の基本タイプ
動産総合保険型:火災・盗難・輸送中の事故などに対応。個人でも加入可能。
展示・貸出用保険:ギャラリーや美術館へ貸し出す際に付帯することが多い。
🔹 加入時の注意点
補償額は時価評価(査定額や購入額)を基準とすることが多く、適正な鑑定書類が必要です。
証明書・来歴・画像記録なども保管しておくと、事故時の対応がスムーズになります。
相続財産の中に美術品が含まれている場合、その評価額が課税対象になります。
一方で、評価の仕方によっては資産の過少申告やトラブルに発展する可能性もあるため、注意が必要です。
🔹 相続時の評価方法
原則として**「時価評価」**(市場価格に基づいた金額)で算定されます。
税務署が評価額を独自に決定するケースもあるため、事前に専門家による査定を受けておくのが安全です。
🔹 贈与・譲渡の場面でも
子や孫へ美術品を贈与する際も、一定額を超えると贈与税の対象となります。
美術品をどう分配するかが争いの火種になることもあるため、生前に整理・評価・意思表示を行うことが望ましいとされます。
美術品は“買って終わり”の資産ではありません。
保管によって価値を保ち、保険でリスクを避け、相続に備えておくことは、資産としての美術品を真に活かすために欠かせない要素です。
ART Billionでは、作品の保存・査定・資産管理に関するご相談も随時受け付けております。
はじめての方でも安心してご相談いただけるよう、専門家による評価サポートや相続時のご相談窓口などもご用意しております。