死体や身体的障害者など社会的周縁を宗教的美学と融合し、独自の世界観を創造するアメリカの写真家
ジョエル=ピーター・ウィトキンは1939年、ニューヨーク・ブルックリン生まれの現代写真家。死や身体のタブーをテーマに、宗教的・神話的モチーフを巧みに取り入れた挑発的な作品で国際的に知られています。彼の写真はバロック美術や象徴主義、シュルレアリスムの影響を受け、独自のプリント技法を用いた演出写真として強烈な存在感を放ちます。
1939年、ユダヤ人の父とカトリックの母のもとニューヨークに生まれる。幼少期に少女の切断された首の現場を目撃した体験が創作に大きな影響を与えました。1961~64年、ベトナム戦争で戦場写真家として従軍。クーパー・ユニオンで彫刻を学び、ニューメキシコ大学でMFAを取得。現在はニューメキシコ州アルバカーキ在住。
死体、身体の一部、障害者、小人症、性転換者など社会的に周縁化された被写体を、古典絵画や宗教的エピソードのモチーフと組み合わせ演出。写真は入念に計画され、撮影後は独自の技法でプリントを加工し、強烈なビジュアルと哲学的メッセージを放ちます。
⚫︎ 「芸術家の煉獄でキリコを待つ」
⚫︎ 「かつて鳥だった女、ロサンゼルス」
⚫︎ 「女性三様」
⚫︎ 「男と犬、メキシコ」
これらの作品は東京国立近代美術館ほか多数の美術館で収蔵されています。
その作品はグロテスクかつショッキングと評される一方、死や美、宗教、社会規範への根源的問いかけとして国際的に高く評価。現代写真史において特異な存在感を持ち、世界中で展覧会が開催され続けています。
ジョエル=ピーター・ウィトキンは、死やタブーを通して人間存在の根源や美の本質を問い直す現代写真家。彼の挑発的な作品群は議論を呼びつつも、写真芸術の新たな地平を拓く力強いメッセージを持ち続けています。所有作品の売却をお考えの方は、アートビリオンの専門査定サービスをご利用ください。