時間と変化を操るキネティック・アートの革新者
ヤコブ・アガム(Yaacov Agam, 1928–/本名:Yaacov Gipstein)は、イスラエル出身の現代美術家であり、キネティック・アート(動く芸術)の先駆者として国際的に知られています。従来の絵画や彫刻が持つ「静止」の概念を拒み、観る位置や角度、光の変化によって作品が姿を変える“動きのある芸術”を確立しました。代表作《アガモグラフ》は、特殊レンズによって複数のイメージが変化する多次元作品で、世界の美術史において革新的な地位を占めています。
1928年、イスラエルにラビの息子として生まれる。エルサレムの美術学校で基礎を学び、その後パリを拠点に国際的活動を展開。1963年、サンパウロ・ビエンナーレで創造的研究に対する最優秀賞を受賞し、一躍注目を集めました。
アガムは、絵画・彫刻だけでなく、劇場美術、建築デザイン、映画制作、版画など幅広い分野に挑戦。1960年代からは「時間」「変化」「移動」をテーマに、観客の視点や動作を作品の不可欠な要素とするシリーズを制作。作品はニューヨーク近代美術館をはじめ世界中の主要美術館に収蔵され、公共空間にも多く設置されています。
⚫︎時間と変化の美学
作品は、静止した状態では完結せず、鑑賞者の動きや環境の変化によって新たな表情を見せます。
⚫︎参加型芸術
観客は単なる観察者ではなく、作品の変化を引き出す“共演者”として位置づけられます。
⚫︎多分野への越境
劇場、建築、映像、デザインなど、多岐にわたる領域で創作活動を展開。都市空間にもアガム特有の視覚変化を持ち込みました。
《アガモグラフ》
アガムが特許を取得した多次元構造作品。特殊レンズを組み込み、観る角度によって複数のイメージが浮かび上がる。時間と空間の相互作用を視覚化した革新的アート。
《ダブル・メタモルフォーゼ》シリーズ
幾何学的構成の中に複数の変化パターンを内包し、観客の移動に伴って色彩や形態が連続的に変化する作品群。
アガムの作品は国際オークション市場において、特に《アガモグラフ》や大型キネティック・スカルプチャーが高値で取引されています。公共空間や企業コレクションへの導入例も多く、アートと建築の融合分野での需要が高いのが特徴です。近年は回顧展や都市再開発プロジェクトでの大型インスタレーションが注目され、キネティック・アートの先駆者として再評価が進んでいます。
ヤコブ・アガムの作品は、視覚的驚きと知的刺激を同時に与え、国境や文化を超えて愛されています。もしアガム作品を所有している場合、適切な査定と保全は極めて重要です。
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