プロセスが描く抽象の地平を切り拓いたアーティスト
ベルナール・フリズ(Bernard Frize, 1949–)は、絵画制作の過程そのものを探求し、完成品よりも創作の仕組みに焦点を当てたフランスの抽象画家です。個人的感情や物語性を排除し、媒体と技法を主役に据えることで、反復、偶然性、鮮やかな色彩が共存する独自の表現を確立しました。型破りなツールや素材を駆使し、アシスタントと共に制作を行うことも多く、プロセス自体を鑑賞者に開かれた体験として提示します。
1949年、フランス・サン=マンデ生まれ。美的意図や物語性を排し、工業的かつプロセス主導の制作手法を確立。ローラーやスポンジなど非伝統的な道具を用いて幾何学的グリッドや流動的なパターンを描き、アクリルや樹脂を重ねた豊かな表面を形成します。
2019年にはアンジェラ・ランプのキュレーションによるポンピドゥー・センターでの展覧会「Sans repentir」が大きな注目を集め、以降もパリ、ロンドン、ウィーン、マイアミなど国際的に個展・企画展を開催。現在はパリとベルリンを拠点に活動しています。
プロセスの可視化
作品の主題は完成形ではなく、その生成過程。反復や偶発的な形態を積極的に取り込み、制御と偶然のあいだの緊張を画面に定着させます。
非伝統的ツールと素材
ローラーやスポンジ、工業用ブラシなどを用い、時に複数人で同時に作業することで均質でありながら人為的な揺らぎを残す筆致を実現。
抽象と有機のあいだ
幾何学的な構成の中に、自然や風景を想起させる柔らかな色面や流動的形態を内包。感情的表現を排除しながらも、観る者の知覚や記憶に訴えかけます。
フリズの作品は、ポンピドゥー・センター(パリ)、テート・モダン(ロンドン)、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ベルリン国立美術館など世界各地の主要美術館に収蔵。所属ギャラリーにはギャラリー・エマニュエル・ペロタン(パリ、マイアミ)、サイモン・リー・ギャラリー(ロンドン)、ギャラリー・ネヒスト・ザンクト・シュテファン(ウィーン)などがあり、欧米の第一線で継続的に発表を行っています。
近年、プロセス重視の抽象表現やコンセプチュアルアートの再評価の流れの中で、フリズの市場価値は上昇傾向にあります。特に鮮やかな色彩を用いた大型作品や、代表的なストライプ/グリッドシリーズは国際オークションでも高値落札が見られ、ヨーロッパと北米を中心にコレクター需要が拡大しています。
フリズ作品の制御と偶然、規則と逸脱が交差するその画面は、観る者を創作の現場へと引き込みます。プロセスそのものを美学へと昇華した彼の作品は、今後も国際的な美術館・コレクションで高く評価され続けるでしょう。
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