日常をユーモラスに彩る異才
ピーター・マクドナルド(Peter McDonald, 1973–)は、現代の日常風景を、アクリルガッシュによる鮮やかな色彩と特徴的な“大きな頭”の人物で描く現代美術家です。空港、ビーチ、美術館、街角のショップやジムといった、誰もが身近に感じる場面を、ユーモラスかつ軽やかな筆致で切り取り、観る者に笑みと発見をもたらします。大胆な色の組み合わせと簡潔な形態は、一見シンプルながら、現代の人間関係や社会の空気感を静かに映し出します。
1973年、東京都生まれ。ロンドン在住。2000年、ロイヤル・アカデミー・スクールズ・ロンドン修士課程絵画科を修了。以降、国際的に活動を展開し、個展「This, that and the other」(ディオ・ホリア、ギリシャ、2018)や「言語のマッシュルーム」(ケイト・マッガリー画廊、ロンドン、2017)を開催。森美術館「六本木アートナイト」(東京、2016)などのグループ展にも参加。2008年にはJohn Moores絵画賞を受賞し、その名を広く知られるようになりました。
ユーモラスな日常の断片
日常生活に登場する人々や風景を、大きな頭部とミニマルな身体でデフォルメ。シーンごとの軽快な空気感と、人間関係の距離感を巧みに描きます。
アクリルガッシュの鮮やかさ
予想外の色彩の組み合わせにより、何気ない日常を祝祭的な場面へと変換。色そのものが人物や場面の感情を代弁します。
人生への讃歌
コロナ禍を経た近年の作品では、《Together》《House Party》《New Friend》といったタイトルが示すように、人と人が集い、語り合い、楽しむことの喜びを描き出します。
マクドナルドはヨーロッパ、アジアを中心に個展・グループ展を多数開催。2022年から2024年にかけて制作された新作群では、15点の小型キャンバス、12点のドローイング、5点のリトグラフを発表。リトグラフはバルセロナの老舗工房「ポリグラファ・オブラ・グラフィカ」で制作され、精緻かつ温かみのある仕上がりで好評を得ています。
マクドナルドの市場評価は安定しており、特に代表的な“大きな頭”シリーズは国内外コレクターに根強い人気を誇ります。近年は小型作品や版画作品も市場に流通しやすくなり、新規コレクター層の獲得にも成功。オリジナル作品は色彩の完成度と軽妙なストーリーテリングで高値を維持しています。
ピーター・マクドナルドの描く“大きな頭”の人物たちは、現代社会の空気感を映す鏡であり、同時に人生の喜びを祝福する存在でもあります。今後も国際的な舞台で、多様な人々の共感を呼び続けることでしょう。
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