HIP HOPのリリックを吹き込む、ポップカルチャーの翻訳者
マーク・ドリュー(Mark Drew, 1978–)は、オーストラリア・シドニー出身のグラフィックアーティストであり、世界的に知られるシドニーのチャイナ・ハイツ・ギャラリー(China Heights Gallery)の共同創設者としても知られています。2009年からは日本・東京を拠点に活動し、版画とペインティングを横断しながら、独自のポップカルチャー解釈を展開しています。
ドリューの作品の象徴的スタイルは、チャールズ・M・シュルツの名作コミック『PEANUTS』に登場するスヌーピーやチャーリー・ブラウンといった愛らしいキャラクターの吹き出しに、自身が10代の多感な時期に影響を受けた90年代HIP HOPの名曲のリリック(歌詞)をはめ込むというものです。可愛らしさと哲学的な響きを持つ『PEANUTS』のセリフと、時に社会や人間心理を鋭く突くHIP HOPの言葉が融合することで、一見なじみ深いビジュアルでありながら強烈な個性と独特のユーモアを放ちます。
1978年、オーストラリア・シドニー生まれ。地元のアートコミュニティで活動を始め、やがてグラフィックデザインとストリートカルチャーを融合させたスタイルを確立。2009年に拠点を東京に移し、国際的なギャラリーやアートフェアでの発表を重ねています。共同創設したチャイナ・ハイツ・ギャラリーは、シドニーのアートシーンを牽引する存在となっています。
ポップカルチャーの再解釈
音楽、特にHIP HOPと、世界的に愛されるカートゥーンを融合させ、視覚的にも言語的にも二重の意味を持つ作品を生み出します。鑑賞者は、懐かしさと新鮮さを同時に味わうことができます。
版画とアクリルの融合
原画はアクリルで描かれ、版画作品は主にシルクスクリーン技法で制作。フラットで高コントラストな仕上がりは、インテリア性の高さからも人気が高く、近年は版画でしか表現できないシリーズも多く発表されています。
メッセージとユーモア
90年代HIP HOPのリリックと『PEANUTS』の世界観が交差することで、社会的メッセージと軽やかなユーモアが同居する独自の世界を築いています。
⚫︎「Moods」 China Heights Gallery(シドニー)
⚫︎「Ain’t Got No Game」 Backwoods Gallery(メルボルン)
⚫︎「Nuthin’ But A ‘G’ Thang」 Tokyo Cultuart by Beams(東京)
⚫︎「Look Mom, No Hands」 StolenSpace Gallery(ロンドン)
ドリューの作品は、中〜大サイズのキャンバスやシルクスクリーン版画が主流で、価格帯は数十万円〜150万円規模。特に『PEANUTS』シリーズは世界的にコレクター需要が高く、海外ギャラリーやオークションで安定した取引が続いています。版画作品も人気が高く、インテリアアートとしての需要も旺盛です。
『PEANUTS』とHIP HOPという異なる文化圏の要素を掛け合わせ、言葉とイメージの新しい関係性を提示します。その作品は、懐かしさと挑発、そしてユーモアを併せ持ち、国際的なコレクターの心を捉え続けています。
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