無垢と寓意を行き来する、北欧発のキャラクター・メーカー
ヨアキム・オジャネン(Joakim Ojanen, 1985–)は、スウェーデン・ヴェステロース出身、ストックホルムを拠点に活動する現代アーティストです。彫刻、絵画、ドローイングを横断しながら、大きな目やデフォルメされた耳・口、触手のような手足を持つユーモラスかつ少し不気味なキャラクターを生み出します。一見すると子供の創作物のような無垢さをまといながらも、北欧美術に根差す寓意性と現代ポップカルチャーの軽快さを併せ持つ表現で知られています。
1985年、スウェーデン・ヴェステロース生まれ。2012年にコンストファック国立美術工芸デザイン大学で学士号を取得、2014年に同大学院でMFAを取得。卒業後はストックホルムを拠点に、ロサンゼルス、ケルン、パリ、エディンバラ、香港、ニューヨークなど世界各地で個展を開催。2021年には故郷のヴェステロース美術館で大規模個展「The Part You Throw Away」を開催し注目を集めました。
即興性と偶発性
制作ではあらかじめ物語やルールを決めず、自由な創造性と予期せぬ偶発性を重視。生まれるキャラクターはおどろおどろしくも愛嬌があり、鑑賞者と絶妙な距離感を保ちます。
キャラクターと寓意
日本の漫画にも通じるコミカルな造形の背後に、北欧ルネサンスに連なる寓意性を秘める。ピーター・ソール、フィリップ・ガストン、R.クラムといったカルト的巨匠の影響も色濃く見られます。
素材と技法の横断
セラミック、ブロンズ、キャンバス作品、ドローイングなど多様なメディアを自在に行き来し、素材感と色彩感覚を駆使して立体と平面を繋ぐ独自の世界観を構築します。
⚫︎個展
2021年「The Part You Throw Away」The Hole NYC(ニューヨーク)、Västerås Konstmuseum(ヴェステロース)
2020年「A Show for the Lonely Distant Baby Souls」Richard Heller Gallery(サンタモニカ)
2019年「Snake Pit」The Hole(ニューヨーク)、「Island」Dio Horia(ミコノス)
2017年「The Tennis Elbow」The Journal Gallery(ブルックリン)、「Interrupted Boredom」Galerie Lefevbre & Fils(パリ)
2016年「What A Time To Be Alive :(」Richard Heller Gallery(サンタモニカ)
⚫︎グループ展
2022年「Universe 5」The Hole Tribeca(ニューヨーク)、「New Construction」The Hole(ロサンゼルス)
2018年「Turning Time」Magasin III(ストックホルム)、「CLAY TODAY」The Hole NYC(ニューヨーク)
2017年「Gyeonggi International Ceramic Biennale」(韓国)
2016年「Swedish Art: Now!」Sven Harrys Konstmuseum(ストックホルム)
⚫︎コレクション
Magasin III(ストックホルム)、Colección Solo(マドリード)、Statens Konstråd(スウェーデン)、The Bunker Artspace(パームビーチ)、Västerås Art Museum(スウェーデン)ほか多数。
オジャネンの作品は、セラミックやブロンズの立体作品が中心で、価格帯は数十万円から数百万円規模。キャラクター性の強い代表作は海外コレクターからの需要が高く、特にニューヨークや香港での展示を経て国際市場での評価が上昇。ドローイングやキャンバス作品も人気があり、近年はオークション出品数も増加傾向にあります。
北欧的寓意とポップカルチャーを融合し、即興性を重んじる制作姿勢から生まれる予測不能な造形は、鑑賞者を現実と虚構の狭間へと誘います。国際的な展覧会活動と市場評価の高まりから、今後ますます注目度が増すことは間違いありません。
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