色彩の歓びと伝統美を一つに昇華させた、洋画界の絢爛の覇者
梅原龍三郎(うめはらりゅうざぶろう)は、昭和期の日本洋画界における重鎮にして、安井曽太郎と並び「洋画壇の双璧」と称された巨匠です。
印象派の技法を学びながらも、日本の伝統美術を自在に吸収し、濃厚な色彩と力強いタッチをもって、独自の華麗な洋画世界を築きました。その絵には、目の前の風景や人物に宿る“生命の祝祭”が輝いており、画面の隅々に至るまで梅原の美意識が息づいています。
1888年、京都府京都市下京区の染呉服商の家に生まれる。幼名は「良三郎」だったが後に「龍三郎」に改名。
京都府立第二中学校を中退後、伊藤快彦の画塾「鐘美会」や聖護院洋画研究所、関西美術院で浅井忠・安井曽太郎らに学ぶ。
20歳の時にフランス・パリへ渡り、印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワールに師事。ルノワールからその色彩感覚を高く評価される。
帰国後は欧州の油彩技法に桃山美術、琳派、南画などの日本伝統様式を加え、装飾性と自由闊達な筆致を融合させた梅原様式を確立。
戦前から戦後にかけて常に画壇の中心に位置し、多くの展覧会で作品を発表。教育者・文化人としても広く活動。1952年、文化勲章受章。1986年、97歳で逝去。
梅原の絵画には、見る者の目を覚ますような色彩の明快さと、筆触の躍動感があります。
ルノワール仕込みの豊かな色遣いを基礎に、琳派的構成や水墨の余白、桃山文化の装飾性といった日本美術の精髄を大胆に融合させ、洋画でありながら“和の気配”を帯びた新しい表現を実現しました。
風景・人物・静物を問わず、画面からあふれる“祝祭感”は圧倒的であり、特に火山の噴煙を描いた《桜島》シリーズ、赤い花々の《薔薇図》などはその代表格です。
●《桜島》
梅原を代表する風景作品群。荒々しくも壮麗な筆致で火山の生命力を描く。
●《立裸婦》
ルノワール直系の技術を活かした裸婦像。重厚な肉感と気品が同居する名作。
●《紫禁城》《グランド・カナル》
欧州・アジアの都市風景を装飾的かつ詩的に再構成した異国情緒あふれるシリーズ。
●《薔薇図》
強烈な色彩と簡潔な構図で花の生命力を象徴的に表現した静物画の傑作。
梅原龍三郎の作品は、文化勲章受章作家かつ日本近代洋画の柱の一人として、国内外で非常に高く評価されています。特に代表的モチーフ(桜島・薔薇・裸婦)や晩年の円熟期作品は高額での取引が多く見られます。
⚫︎油彩大作:5,000万~2億円以上
⚫︎小型油彩・静物画:1,000万〜5,000万円
⚫︎素描・水彩:300万〜1,500万円前後(モチーフや来歴による)
⚫︎リトグラフ・版画類も数十万〜数百万円と高評価
真贋や来歴が厳密に重視されるため、専門鑑定書の有無が重要です。
⚫︎《桜島》《薔薇図》《裸婦》などの代表的主題作品
⚫︎美術館展覧会に出品された記録のある作品(カタログ・出品証明付き)
⚫︎渡欧時代やルノワール師事期の作品/梅原の自筆銘や花押があるもの
⚫︎晩年期の洗練された様式による油彩画(構図・保存良好)
文化財級評価の対象となることも多く、美術館・百貨店コレクションの放出作などは特に高値傾向です。
梅原龍三郎の絵には、西洋絵画の明快さと、日本的美意識の奥行きが同時に宿っています。
描く喜び、見る歓び、それらが一体となった色彩の祝祭こそ、梅原芸術の本質です。
ご自宅やご実家に梅原龍三郎作品をご所蔵の方は、真贋・来歴を含めた専門的な査定をぜひご検討ください。
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