マティスに認められた青の詩人、日本洋画界の生きた伝説
青山義雄(あおやまよしお)は、明治から平成にかけて活躍した日本の洋画家であり、102歳という長寿を全うしながら、人生をかけて色彩と絵画の本質を追い求めた画家です。
特に南フランスの光と空気に魅了され、巨匠アンリ・マティスに才能を認められたことで知られます。
「青山ブルー」と称された独自の青は、彼の精神性と自然への賛美を象徴し、日本の洋画史に残る独特の色彩表現として高く評価されています。
1894年、神奈川県横須賀市に生まれ、父の転勤により北海道根室市で育つ。
1911年、日本水彩画研究所で大下藤次郎に師事し、絵の基礎を学ぶ。
1921年、27歳でフランス・パリへ渡り制作を開始。1926年、南仏に移った際にアンリ・マティスと出会い、以後親交を深め、師弟関係を築く。
その後、国画会の梅原龍三郎に請われて1936年に同会会員となり、春陽会展では昭和洋画奨励賞・佐分賞・中村彝賞などを受賞。
戦時中は房総半島の勝浦市に疎開し制作を継続。1952年に再び渡仏し、地中海沿岸の風景にインスピレーションを得た作品群を次々に発表。
1996年、帰国から4年後の102歳で永眠。生涯を通じて絵筆を手放さず、“色彩の詩人”として高く評価されました。
青山の作品を語るうえで欠かせないのが、「青山ブルー」と呼ばれる深く澄んだ独自の青色表現です。
南仏の陽光を浴びた海岸風景や花々に対して、生命の歓びを絵画化したかのような明るく鮮やかな色彩が特徴です。
その色調は、マティスに認められた明快な色彩感覚と、日本人ならではの繊細な観察力が融合したもので、詩的で装飾性の高い構成力にも定評があります。
また、静物画においても単なる写生を超えた抒情と構築美の共鳴が見られます。
●《南仏の風景》《プロヴァンスの村》
地中海沿岸の明るい光と影を青山ブルーで表現。風の通うような構図が印象的。
●《花》《果物と壺》
豊かな色彩と柔らかいフォルムで描かれた静物。温もりと詩情に満ちている。
●《海辺の家》《勝浦の丘》
戦中・戦後の日本における記憶の風景を描いた希少な日本時代の作品。
⚫︎1920年代よりパリ・南仏で制作、マティスに才能を認められた数少ない日本人画家
⚫︎国画会・春陽会で活躍し、複数の賞を受賞
⚫︎「青山ブルー」に象徴される独自の色彩は日本洋画の中でも極めて特異
⚫︎102歳で没するまで精力的に制作を続けた、日本洋画界最長寿級の現役画家
⚫︎神奈川県立近代美術館などに作品が多数所蔵
青山の作品はその色彩の独自性と国際的評価の高さから、現在も堅調な評価を保っています。
⚫︎油彩(地中海風景・花):300万〜1,500万円前後
⚫︎水彩・小品:80万〜300万円
⚫︎サイン付きリトグラフ:20万〜60万円
⚫︎「青山ブルー」使用作品は高値傾向/マティスとの関係資料付き作品は希少価値大
特に南仏・地中海沿岸のモチーフと色彩の冴えた時期の作品は市場でも人気が高く、再評価の兆しが見られます。
青山義雄は、ひたむきに「美しい色と形の世界」に身をゆだね、詩人のように筆を動かし続けた画家です。
彼の作品には、時間を越えた生命の静けさと歓びが刻まれており、それは今なお観る人の心を揺さぶります。
その人生もまた絵画とともにあり、青山義雄は“生きる芸術”を体現した巨匠と言えるでしょう。
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