略歴とキャリア

1928年、京都府生まれ。東京美術学校(現・東京藝術大学)で日本画を学ぶも、油彩画へ転向。戦後すぐの1948年に渡仏し、パリで抽象美術の潮流と出会います。1950年代には「アンフォルメル(非定形)」の代表的画家として評価され、ジャン・デュビュッフェやミシェル・タピエらと交流しつつ、欧州各地で個展やグループ展を開催しました。
1960年代以降は、再び日本でも精力的に活動を始め、東京画廊をはじめとする日本の現代美術シーンでも注目を集めました。パリと東京を往復しながら、物質性と空間性、そして東洋と西洋の美意識を交差させた作品を生み出し続けました。

代表作

《作品No.26(1958)》
黒と褐色の重層的なマチエールが渦を巻くように構成された抽象画。戦後の荒廃と再生の象徴として評価され、パリでも話題となった。
《空》シリーズ(1980年代以降)
金箔や鉛、砂など異素材をキャンバスに用いた実験的作品群。余白を重視した構成で、日本画や水墨画を想起させる。
《転生(Metamorphosis)》
黒地に金の線が浮かび上がる、瞑想的な雰囲気を持つ作品。精神性と物質性が共存する、今井芸術の集大成とも言える傑作。

作風とテーマ

今井の初期作品は、黒や褐色を基調にした激しい抽象絵画が特徴です。荒々しい筆致や厚塗りのマチエールは、内面の情念や記憶を物質化したかのようで、「見る絵」ではなく「感じる絵」として観る者に迫ってきます。
一方で、晩年にかけては、金箔や砂、金属粉などの異素材を使用し、より静謐で精神的な作品へと変化していきます。余白や沈黙を生かした空間構成は、禅や東洋思想の影響を強く感じさせ、日本の伝統美との対話とも言えるでしょう。
作品タイトルには「無題」「空」「転生」など、象徴的な語が多く用いられ、形に縛られない表現を通して「物質と精神」「生と死」「可視と不可視」のテーマを追求し続けました。

人気度と価値

今井俊満の作品は、2020年代に入り再評価の機運が高まっています。特に以下の点で市場での注目度が上昇しています:
戦後抽象美術における重要作家として国際的に再注目されている
海外オークション(フランス、香港など)でも落札価格が上昇中
美術館収蔵歴のある作品や1950〜60年代のアンフォルメル期作品は特に希少

市場価格の目安は以下の通りです

油彩・中〜大作品(1950〜1970年代):120万〜600万円
晩年の金箔・異素材作品:80万〜300万円
ドローイング・小作品:40万〜100万円

買取のポイント

今井俊満作品の買取市場での傾向
ART Billionでも、今井俊満の作品についての査定依頼は増加傾向にあります。以下の要素を備えた作品は、高額査定が期待されます

⚫︎アンフォルメル期(1950〜60年代)の大作
⚫︎パリ画廊や国内外美術館で展示歴のある作品
⚫︎金箔や鉛などを用いた実験的技法の作品
⚫︎証明書・サイン・展覧会図録付きのもの
⚫︎保存状態が良好な作品(特にマチエールの損傷がないもの)

今井の作品は一点一点が個性を放ち、所蔵者の記憶や歴史性が作品の文脈に含まれるため、丁寧なヒアリングと査定が重要です。

買取サービス
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