高松次郎は1936年2月20日に東京都で生まれ、本名は新八郎です。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業後、1958年から読売アンデパンダン展に出品し注目を集めます。1963年には赤瀬川原平や中西夏之と共に前衛芸術グループ「ハイレッド・センター」を結成し、日常空間でのハプニングやパフォーマンスを通じて芸術と社会、日常の境界を問い直しました。
1960年代後半からは個人制作に軸足を移し、「点」「紐」「影」「遠近法」「形」など、シリーズごとに現実と認識、概念と物質の関係を探求。1968年のヴェネチア・ビエンナーレ、1977年のドクメンタなど、国内外の国際展で高く評価され、日本のコンセプチュアル・アートを代表する存在となりました。
高松次郎の作品は、絵画、彫刻、写真、パフォーマンス、インスタレーションと多彩な手法を駆使し、現代美術における根本的な問いである「見ること」「存在」「認識」「概念と物質の関係」を探求しました。
特に「影」シリーズ(1964年~)は、実体のない「影」を白やオフホワイトの支持体に描くことで、実在と虚像、存在と不在、視覚と認識のズレを問いかけ、日本のコンセプチュアル・アートに大きな影響を与えた代表作です。さらに「点」「紐」シリーズでは、物質と概念の関係を可視化し、「遠近法」シリーズでは、遠近法を逆転させたり、現実の空間認識を揺るがす立体作品やインスタレーションを展開しました。
「影」シリーズ(1964年~)
高松次郎の代表作である「影」シリーズは、実体のない「影」だけを描いた作品群。人や物の影を白やオフホワイトの支持体に描き、実在と虚像、存在と不在、視覚と認識のズレを問いかけました。
「点」「紐」シリーズ
「点とは部分のないもの」「紐は線でありながら空間をつなぐもの」といった考察を基に、物質と概念の関係を可視化する試みがなされています。
「遠近法」シリーズ
遠近法を逆転させる立体作品やインスタレーションで、現実の空間認識を揺るがす手法を展開。
「THE STORY」(1972年)
文字や記号を使った版画作品で、特に第8回東京国際版画ビエンナーレで国際大賞を受賞。
「形」シリーズ(1980年代~)
形、色彩、線、面の要素が交錯する抽象的な絵画シリーズ。晩年に至るまで続けられました。
高松次郎の作品は、絵画や彫刻、写真、パフォーマンス、インスタレーションを駆使し、現代美術の最も根源的なテーマに挑み続けました。「見ること」「存在」「認識」「概念と物質の関係」という問題を問い直すそのアプローチは、日本のコンセプチュアル・アートの先駆けとなり、国内外の現代美術に大きな影響を与えました。
近年も大規模な回顧展や国際的なギャラリーでの取り扱いが続き、再評価が進んでいます。
高松次郎の作品は、その革新的なアプローチと国際的な評価から、美術市場で安定した需要があります。特に「影」シリーズや「点」「紐」シリーズなど、重要な作品は高額で取引されることが多く、小規模の作品であっても100万円〜300万円程度の価格が見込まれ、著名な作品は500万円以上で取引される場合もあります。
高松次郎は、現代美術における「世界の見方」「認識のズレ」「概念と物質の関係」を問い続けた日本を代表するコンセプチュアル・アーティストです。代表作である「影」シリーズをはじめ、幅広いメディアと手法で今なお世界の現代美術に強い影響を与え続けています。