船越桂(1951年〜)は、日本を代表する現代彫刻家。彼の作品に出会うとき、多くの人は“彫刻”という言葉の印象を静かに更新される──木彫による等身大の人物像は、まるで息をひそめてそこに“いる”。その眼差しは遠くを見つめ、時にこちらを見つめ返す。
⚫︎楠(くすのき)を使った木彫像に彩色・金箔を施す独自技法
⚫︎現実と夢のはざまを生きるような男女像
⚫︎神話や文学の要素、古代と現代の時間が交差する造形言語
その姿は人間でありながら人間を超え、“心のかたち”そのもののような存在感を放っています。
1951年:岩手県盛岡市に生まれる
1977年:東京藝術大学彫刻科卒業(その後大学院修了)
1980年代:木彫に彩色を施す独自スタイルで注目される
1990年代:国内外の展覧会に精力的に参加、ヴェネツィア・ビエンナーレ(1995)で国際的評価を確立
2000年代〜現在:数々の個展、回顧展を開催。作品は国内外の美術館に収蔵されている
一貫して木を素材にしてきた船越は、伝統的な技法を用いながらも、そこに“詩と哲学”を宿す現代の語り手です。
《海を見る人》:遠く海を見つめる青年像。寂しさと希望のあいだ
《眠れる人》:まぶたを閉じた女性像。夢と現のはざまを表現
《詩人の肖像》シリーズ:文学者や哲学者の顔を借りた抽象的人物彫刻
近年作:《ときの旅人》など、神話的時間と人間存在を結び直す作品が多い
どの像も、彫刻でありながらまるで“時間”そのものを彫り出しているように感じられる、深い余韻をたたえています。
⚫︎手仕事×コンセプトの完成度:彫刻としての物質感と精神性の両立
⚫︎世界的なクラフト/スピリチュアル志向の高まりと共鳴
⚫︎「静けさ」や「間」を重視する日本的価値観の具現者
⚫︎木彫という伝統的素材を現代的に解釈する独自性
⚫︎海外美術館の所蔵増加(ロサンゼルス、パリ、ソウルなど)
また、近年ではデジタル時代における“身体”や“存在”の問いを立体で示す作家として、次世代のアートファンにも再評価されています。
⚫︎小型木彫(1点もの):1,000万〜3,000万円前後
⚫︎等身大作品:3,500万〜8,000万円(展示歴や図録掲載があると加点)
⚫︎ドローイング・エスキース:150万〜500万円程度
⚫︎彫刻ブロンズ版(希少):1,000万円以上
⚫︎出展歴のある彫刻(美術館・ギャラリー展)は高く評価
⚫︎彩色の状態、木材のコンディション(ひび割れや変色)も重要
⚫︎証明書(ギャラリー発行の作品証明など)や図⚫︎録掲載歴があるとベター
⚫︎初期作品(1980年代)は近年特に希少価値が上昇中