赤、青、緑に光る数字がゆっくりと変化する。1から9までのカウントアップ。0は表示されない。なぜなら、0は「死」を意味するから──。
宮島達男(1957年〜)は、LEDを用いたインスタレーションや彫刻で世界的に知られる日本の現代美術家です。デジタルの冷たさではなく、「いのちのリズム」をLEDの数字に託し、人間の存在や時間、死生観を詩的に表現し続けてきました。
彼の代表作群《Counter》シリーズは、日本美術の枠を超え、グローバルな美術文脈において「時間の哲学」を体現するものとして高く評価されています。
1957年東京に生まれる
1986年東京芸術大学大学院美術研究科修了
1988年ヴェネツィア・ビエンナーレ アペルト部門に出展、国際的評価を確立
1990年代:ドクメンタや各国のビエンナーレに招待。世界各地で個展・プロジェクトを展開
2000年代〜:チューリヒ、ロンドン、ニューヨーク、ソウル、台北など世界中の美術館で展覧会開催
2020年代:インスタレーションと共に、参加型プロジェクト(《時の海》《Art in You》)を積極展開
宮島は、LED数字作品にとどまらず、近年では禅や身体性を取り込んだインスタレーション、映像、パフォーマンスなども展開。哲学とアートの交差点を探求し続けています。
宮島の作品には明快な理念が流れています。それが以下の「三つの原則」です。
Keep Changing(変化し続けること)
Connect with Everything(すべてと関係すること)
Continue Forever(永遠に続くこと)
このシンプルかつ深遠な指針が、LED作品に命を吹き込み、観る者の「存在」と「死生観」に静かに揺さぶりをかけるのです。
《Counter Void》(2003)六本木ヒルズ前に設置された死者の不在を刻む公共作品
《Mega Death》(1999〜)アウシュビッツの記憶を可視化する青の数字によるインスタレーション(ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館)
《Changing Time with Changing Self》自身の生と他者の時間を対比する自伝的シリーズ
《時の海》プロジェクト:参加者の“時間”の選択による集合的な記憶と詩学
数字を使いながら、「人間の精神」を照らし出す稀有なアーティストです。
⚫︎中型LEDカウンター(壁掛・3〜9個構成):800万〜2,000万円
⚫︎大型LED作品(空間インスタレーション的要素):2,500万〜6,000万円
⚫︎ドローイングや版画:80万〜300万円
⚫︎映像やメディアアート連携作品:プロジェクト次第で変動(近年はNFT連携も模索中)
特に、1988〜1999年頃の初期LEDカウンター作品は稀少性が高く、ヨーロッパの主要オークションでも高騰傾向にあります。
⚫︎LED構成数(数字数)、制作年、展示歴、動作状態が評価を左右
⚫︎ギャラリー証明書(SCAI THE BATHHOUSEなど)や箱書き・付属資料の有無
⚫︎大型作品は設置環境や設計図の有無で大きく変動
⚫︎有名プロジェクト出展歴(ヴェネツィアなど)があると高額査定対象