ひかり、空気、風、祈り──
それらを「素材」として扱うかのように、極めて静かで、繊細で、かつ深く精神的な空間を創り出す作家、それが内藤礼です。
視覚に訴えること以上に、「存在の気配」や「生と死の境界」を扱い、見る者に“沈黙の体験”を与える稀有な現代美術家。彼女の作品空間は、言葉で語ることを拒みながら、私たちの奥底に強く、静かに語りかけてきます。
1961年広島県に生まれる
1985年武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業
1990年代彫刻概念の拡張を試みたインスタレーションで注目を集める
1997年ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館で個展的展示
2000年以降直島の「家プロジェクト」や金沢21世紀美術館などで恒久設置作品を制作
2019年東京都現代美術館にて大規模個展「明るい地上には あなたの姿が見える」開催
「作品」という言葉にとどまらず、「存在の微細な現れ」を示す空間演出や詩的インスタレーションは、宗教性と日本の美意識を静かに融合させた唯一無二の表現です。
《地上にひとつの場所を》:直島の「家プロジェクト」中の恒久設置作品。祈りと時間の沈黙を可視化する空間。
《Tout entière(全体として)》:光と影が交錯する場に微細な存在の気配を呼び込むシリーズ
《このことを》:東京都現代美術館での大規模展における中心的インスタレーション。死者と生者の共在をめぐる問い
《ひと》:無数の極小の彫刻が空間を漂う。見ることとは何か、存在とはなにかを問う代表的シリーズ
内藤の作品には一貫して「見えないものと共に在る」精神性が流れており、それは見る者の身体感覚や内的沈黙に訴える芸術体験そのものです。
⚫︎小型インスタレーション構成要素(陶器・樹脂素材の彫刻など):120万〜400万円
⚫︎ドローイング、エスキース作品:60万〜150万円
⚫︎大型インスタレーション/空間設計含むプロジェクト:価格応相談(2,000万円以上も)
美術館設置作と関連性のある作品:市場価値が安定して高く、海外コレクション需要も継続中
作品の多くはギャラリー小柳などで発表され、点数も限定されているため、二次市場においては稀少価値が非常に高い作家のひとりです。
⚫︎作品の状態はもちろん、展示履歴や制作年が重要
⚫︎資料・証明書・箱書きの有無(ギャラリー小柳発行が望ましい)
⚫︎《ひと》シリーズのオリジナルパーツ構成やエディション数の確認
美術館出品歴があると、評価額が大きく変動