五木田智央(ごきた ともお)は、東京を拠点に活動する現代アーティストです。
1969年生まれ。グラフィックデザインから出発し、イラストレーターとしてのキャリアを経たのち、絵画制作に軸足を移した異色の経歴を持ちます。
彼の代名詞ともいえるのが、モノクロームの絵画作品群。
そこにはクラシック映画、アンダーグラウンド・カルチャー、アメリカのジャズやR&B、そして日本の大衆文化などが濃密に折り重なり、どこか不穏で、しかし目が離せない魅力を放っています。
五木田は90年代から雑誌、音楽メディア、ファッションの分野で活躍。CDジャケットや雑誌イラストの仕事を通じて、サブカルチャーとアートの交差点を切り拓きました。
2000年にはイラスト集『ランジェリー・レスリング』を刊行し注目を集め、その後、画家としての活動を本格化。
2010年代以降は国内外のギャラリーで精力的に個展を開催し、村上隆、奈良美智に続く日本現代美術の注目株として高く評価されています。
⚫︎モノクローム×抽象と具象のあわい
墨やアクリル、グラファイトを用いて描かれる人物像や形象は、一見曖昧で不鮮明ですが、まるで記憶の底から浮かび上がる夢の断片のような感覚を生み出します。
⚫︎アンダーグラウンド文化と即興性
1950〜60年代のジャズレコードのジャケットやアメリカン・ノワール、ピンナップガールなど、ポップでありながらどこか倒錯的な世界観を内包しています。
筆致にはジャズの即興演奏にも通じる“場の勢い”と“迷い”の美学が漂っています。
⚫︎「構図の余白」に宿る静けさ
彼の作品では、描かれない部分(余白)が非常に重要な意味を持ちます。そこにこそ鑑賞者の記憶や感情が入り込む余地があり、作品との対話が生まれます。
⚫︎《Holy Cow》シリーズ(2015〜)
大胆なモチーフと、墨のにじみを生かしたドローイング的な筆致。即興的で粗削りながらも、完成された美意識が貫かれています。
⚫︎「PEEKABOO」展(東京オペラシティ アートギャラリー, 2014)
初期から現在に至るまでの代表作を網羅した大規模個展で、五木田の表現の多層性が国内外に広く知られる契機となりました。
⚫︎ブランクスペース(ニューヨーク)、タカ・イシイギャラリー(東京)などで個展開催
五木田作品は、一点物のペインティングを中心に、国内外のオークションやギャラリーで安定した需要があります。
近年ではアジア・欧米のコレクターからの評価が特に高く、価格も上昇傾向です。
⚫︎キャンバス作品(モノクロ原画):400万〜2,500万円以上
⚫︎ドローイング/紙作品(サイン入り):100万〜600万円
⚫︎シルクスクリーン/エディション作品:20万〜200万円
⚫︎ZINE、出版物(限定版):数万円〜数十万円
五木田の初期作品や2000年代の稀少作は特にプレミアがつく傾向にあります。
五木田作品は、制作年や作品形態、展覧会出展歴などにより価値が大きく異なります。
下記のような情報をもとに、正確な査定が可能です。
⚫︎所有作品の画像(正面・サイン・額装含む)
⚫︎購入時の領収書や証明書(COA)
⚫︎購入元(ギャラリー/オークション等)
⚫︎展示・掲載歴の有無
当社では、現代アート市場の専門査定チームが在籍し、丁寧なヒアリングと迅速なご案内を心がけています。
作品の売却・運用をご検討の方は、ぜひ無料査定をご活用ください。
五木田智央の作品は、黒と白の世界の中に、音楽・映像・記憶・感情の“濃淡”を静かに滲ませています。
それはまるで、沈黙のなかに潜むジャズのような、無音の叫びのような存在です。
見る者に委ねられるその余白の美学は、現代における“絵画の可能性”を問いかけてやみません。