松山しげき(まつやま・しげき)は、情報過多な現代に生きる人間の“実体なき実在”をテーマに、タブローとインスタレーションによってその姿を可視化するコンテンポラリーアーティストです。
1998年よりイラストレーターとして広告・プロダクトの世界で活躍したのち、2011年の個展「UNEASINESS」を契機にアーティストとしての制作を本格化。以降、国内外のギャラリーを舞台に、社会と個人の関係性を視覚化する鋭利な表現を展開しています。
スマートフォンやインターネットの浸透により、加速化する現代人の思考と行動。その“スキップされる体験”が記憶と精神に与える空虚を、松山は鋭敏に捉え、デジタル社会に生きる私たち自身の肖像として作品化しています。
1973年、神奈川県に生まれる。
1998年よりフリーランスのイラストレーターとして活動を開始し、広告やプロダクト分野で多数の案件を手掛ける。
2011年、東京・NOS ORGでの個展「UNEASINESS」を機に、よりコンセプチュアルな表現を求めてアーティストとしての活動を開始。
2016年〜2019年、rooms(代々木第一体育館)やstudio fujinoで「Dazzle room」「Communication」シリーズを展開し、社会的な注目を集める。
2021年〜2022年には、東京・台北・ニューヨークでの個展を通して国際的な評価を高め、パリ・ベルリンなどでのグループ展にも参加。
松山の作品は、私たちが情報環境のなかで“体験を伴わずに消費する知識”に対して警鐘を鳴らしつつ、その空虚の中にある「人間らしさ」や「孤独」を、絵画や空間表現によって視覚化します。
・“現代人”の精神構造を映し出すポートレート
作品には匿名的な人物像が登場しながらも、その表情や姿勢には、都市生活者の不安、空白、欲望が刻まれている。
・情報社会と記憶の関係性を問うテーマ性
インターネットの即時性が体験をすり減らす現代の記憶形成をテーマに、「何が記憶に残るのか」という問いを作品で提示する。
・タブローとインスタレーションの往還
壁面作品にとどまらず、体験型のインスタレーションも手がけ、空間全体を通じて思考と身体の感覚を同時に揺さぶる。
・幾何学的構成とポップな色彩の二面性
構図は緻密で静謐、色彩は一見鮮やかで親しみやすいが、内在するテーマは鋭利で社会的。
●《Portraits / Portrait of Dazzle》シリーズ
都市を生きる“顔のない現代人”を描いたシリーズ。匿名性の中に個人の内面が滲み出る。2021〜2022年にかけて台北・ニューヨークで個展展開。
●《アイジェンは世界を二次元で見る》(2021)
視覚体験の平面化と情報過多社会の虚構性を象徴的に描いたシリーズ。東京・MA2ギャラリーにて発表。
●《Communication : Dazzle room》(2019)
視覚ノイズのように錯綜する色面と情報群が、知覚と意識の間に揺さぶりを与えるインスタレーション。
●《Narcissism》(2016–2017)
自己像と他者認識のズレをテーマにした作品群。香港、東京で個展開催。
松山しげきの作品は、テーマ性の明快さと視覚的インパクトの強さから、国内外のギャラリーやコレクターから注目を集めており、近年はアジアや欧米での需要も高まりつつあります。
とくに「Portraits」シリーズや「Dazzle room」など代表的なシリーズ作品は、現代社会の肖像画としてアートマーケットでの認知を確立しています。
● 中型〜大作タブロー:40万〜120万円前後(サイズ・シリーズ・展示歴による)
● インスタレーション/体験型作品:案件ごとの空間規模・設置条件によって応相談
● 海外展出品歴や出版物掲載歴のある作品は高評価傾向
企業とのコラボレーションやカルチャー系展示との親和性も高く、今後の展開が注視されています。
松山しげきは、加速する情報環境のなかで、“私たちは何を見、何を忘れているのか”という本質的な問いを、作品を通して投げかけてきました。
彼の描くポートレートは、ただの顔ではありません。それは現代人が失った記憶、すり減った体験、そして今なおどこかで求め続けている“実在感”そのものです。
色鮮やかにして沈黙し、構築的でありながら詩的——
松山の作品世界には、情報と感情の隙間に宿る、静かな問いが息づいています。
現代人の肖像を描く/インスタレーション・平面作品のご相談承ります。