松山しげきは1973年神奈川県在住の現代アーティストであり、もとはイラストレーターとして広告やプロダクトのイラストを手がけていました。2011年頃からよりコンセプチュアルな現代アート作品の制作に注力し、絵画、彫刻、インスタレーションなど多彩な表現で国内外のギャラリーにて発表を続けています。
松山は1998年にイラストレーターとして活動を開始。その後2011年から現代アートの制作に軸足を移し、2022年にはニューヨークのGR galleryで「Portrait of Dazzle」シリーズの個展を開催。東京、台北、ロンドン、香港などでも個展を開き、国際的に注目を集めています。
松山の代表作である《Portrait of Dazzle》シリーズは、インターネット上の人物写真の「目」だけをトレースし、顔の輪郭やその他の部分を幾何学的なダズル迷彩模様で覆うという独創的なポートレート作品です。この手法により、SNS上の匿名性や情報の不確かさ、デジタルタトゥーやディープフェイクといった現代的な問題を鋭く表現しています。さらに、ネット上の「ボット」やフェイクニュースの拡散をテーマにした作品も展開し、AIとアルゴリズムが社会や人間の認識に与える影響に対して深い問いかけをしています。
作品の中心である「目」は個人の感情やアイデンティティを象徴するものであり、他方で顔の輪郭や身体は匿名性や不確かさを示すものとして対比的に扱われています。松山は、鑑賞者自身やその身近な人物を想起させる「目」の普遍性と同時に、現代の情報社会に潜む不安や矛盾も表現しています。また、SNSやアルゴリズムによる情報選別の問題に鋭い関心を持ち、それを作品の中でビジュアル化しています。
2021年 「アイジェンは世界を二次元で見る」(MA2ギャラリー/東京)
2022年 「Portrait of Dazzle」(GR gallery/ニューヨーク、GINZA SIX 銀座蔦屋書店/東京)
2023年 「これは人間ですか?」(FOAM CONTEMPORARY/東京)
2024年 「Portrait of Dazzle」(Stolen Space Gallery/ロンドン、Quiet gallery HK/香港、京都 蔦屋書店)
2025年 「Algorithmic Discretion」(アートかビーフンか白厨/六本木)
松山しげきの作品は近年急速に注目度が上昇しており、特に《Portrait of Dazzle》シリーズは20万円〜80万円の価格帯で取引されています。大型作品や限定シリーズはそれ以上の価格となるケースもあり、今後も国内外で市場価値の伸びが期待されています。
松山しげきは、インターネット時代の匿名性や情報の不確かさを鋭く掘り下げ、独自の幾何学的ポートレート表現を通じて現代社会を問いかける現代アーティストです。イラストレーターとしての基礎を活かしつつ、絵画・彫刻・インスタレーションで多様な表現を展開し、国内外で高い評価を獲得しています。