名和晃平(なわ こうへい)は、「PixCell(ピクセル)」「プリズム」「液化」「グレースケール」など、テクノロジーと物質性を融合させた独自の表現で知られる日本の現代アーティストです。
彫刻・インスタレーション・建築・舞台美術までを横断するその活動は、まさに“総合芸術家”の域に達しています。
彼の作品は、知覚と存在の関係を問い直すコンセプトのもとに制作されており、京都を拠点に国内外で精力的に展覧会を開催しています。
1975年、奈良県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科を卒業後、同大学大学院にて博士号を取得。2009年にはクリエイティブプラットフォーム「SANDWICH」を設立し、建築家やデザイナーとの協業も積極的に行っています。
京都という土地で東洋美術の伝統を踏まえながら、最先端のマテリアルとデジタルテクノロジーを駆使する手法は、国内外で高く評価されています。
名和の作品は、常に「物質と情報」「見ることと知ること」の間に揺らぐ感覚を提示します。
《PixCell(ピクセル)》シリーズ
剥製や日用品を透明なガラス球体で覆い、オブジェの輪郭を“視覚的ノイズ”で解体します。情報化社会における実在と虚像のあわいを可視化する試みであり、現代人の知覚構造への問いかけでもあります。
《Direction》《Foam》《Trans》などの彫刻群
発泡素材や樹脂、プリズム、グリッドなど多様な物質を用いて、有機的でありながら無機的なフォルムを構築。見る角度や光の変化によって異なる印象を与え、「見るという行為」自体を彫刻化しています。
《Vessel》《Ether》《Throne》などの大型インスタレーション
巨大な空間において、重力・反射・透明性などの物理的現象を素材化するインスタレーション。とくに2019年の「KOHEI NAWA | Throne」(ヴェルサイユ宮殿)は、東洋と西洋、伝統と未来を結ぶ象徴的作品となりました。
名和晃平の作品は、彫刻としての物理的完成度の高さと、哲学的コンセプトの深みが評価され、以下のような場で展示・収蔵されています。
⚫︎森美術館(東京)
⚫︎ヴェルサイユ宮殿(フランス)
⚫︎シンガポール美術館
⚫︎ロンドンや北京などのアートフェア・ギャラリー
作品はアジア圏のコレクターを中心に需要が高く、特に《PixCell》シリーズやプリズム作品は数百万〜数千万円の取引事例も確認されています。
名和晃平の作品は、美しさとともに、「見ること」そのものを問い直す哲学的な力を持っています。表層的な装飾ではなく、物質の奥行きに“知”を宿らせるその姿勢は、現代社会における感覚とリアリティの境界線を静かに揺るがします。
もしご自宅に名和晃平の作品をお持ちで、その価値や今後の扱いにお悩みでしたら、ぜひ一度専門家による査定をご検討ください。
次の時代に伝えるべき“感覚の彫刻”を、正しく評価いたします。