山口真人は1980年、東京都に生まれました。法政大学経済学部を卒業後、グラフィックデザイナーとしてのキャリアをスタートさせました。彼は国内外の著名なプロジェクトに参加し、椎名林檎のファンクラブ「林檎班」のデザインや、SOIL&"PIMP"SESSIONSやJ.A.Mのミュージックビデオ制作、ユニクロUTなど多岐にわたるクリエイティブワークを手がけました。2012年頃からは現代美術家としての活動を本格化し、「Plastic Painting」シリーズなど独自の作品群を発表しています。近年はSNSやAI、バーチャル空間をテーマに、現実と虚像が交錯する「トランスリアリティ」というコンセプトのもと、「SELFY(自撮り)」をする女性像をクールかつキュートに描き、新たな美意識を探求しています。
山口の作品は、ステンシルやスプレー、デジタル技術を駆使し、独自に開発した絵画マシンを用いた制作も行います。掃除ロボットをハッキングして制作した「Mr.HEAD」やレーザーカッターを改造した「Digital Objects」シリーズも高い評価を受けています。アパレルブランド「X-girl」やYouTuberヒカル、初音ミクとのコラボレーションなど、多様な分野で活躍し、現代アートの枠を超えたボーダレスな活動を展開しています。
山口の作風は、1990年代の東京カルチャーや渋谷系ファッション、アンディ・ウォーホルのポップアート、そしてシミュレーショニズムやRemixカルチャーの影響を受けています。彼は「他者の作品を再解釈して自分の作品を作る」という手法を基本に、SNSやネット時代における現実と虚像の曖昧さを鋭く可視化します。鮮やかな色彩、デジタルとアナログを融合した多様な技法を用い、現代社会におけるアイデンティティやリアリティの複雑性を描き出します。
2016年「MADE IN TOKYO」(Gallery Onetwentyeight/ニューヨーク)
2019年「Digital Objects」(Turner Gallery/東京)
2019年「Prologue of Trans Reality」(H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHI/東京)
2021年「SELFY」(SH GALLERY/東京)
2022年「SELFY:完整版」(香港)
2023年「TRUEFALSE」(東京)
2024年「REMIXED BY」(東京)
山口真人の作品は国内外のギャラリーやオンラインプラットフォームで販売されており、アート市場でも注目度が高まっています。特に「SELFY」シリーズは人気が高く、保存状態や制作時期、展示歴により査定額が変動しますが、買取相場は数十万円から百万円台の価格帯で取引されています。限定作品や代表作は高値で取引される傾向が強く、今後の市場価値上昇も期待されています。
山口真人は、SNSやデジタル時代における「現実と虚像のあいだ」に潜む複雑なリアリティを鋭く描き出す現代美術家です。多彩なメディアを駆使し、独自の視点から現代社会の新たな美意識を探求しています。国内外での多岐にわたる活動と高い評価から、今後もさらなる活躍が期待される注目の作家です。