谷口正造(たにぐち・しょうぞう)は、動物や乗り物といった具象モチーフに“家”や“言葉”を組み合わせ、物語のような風景を描き出す現代アーティストです。
愛媛県に生まれ、現在は東京を拠点に活動。ドローイング、ペインティング、立体、インスタレーションと自在に表現手段を横断しながら、詩的かつユーモラスな想像世界を織りなしています。
登場するのは、背中に家を乗せた馬や、寂しげなうさぎ、ぽつんと止まった車たち。
それらはどこか道に迷ったようでいて、確かに“どこかへ向かおうとする意志”を感じさせる存在です。
言葉と線、空間と支持体を行き来する谷口の作品は、私たちの内側にある“遠くの場所への憧れ”を静かに呼び起こします。
1990年、愛媛県に生まれる。
東京を拠点に、ドローイングや立体、インスタレーションを融合させた独自の表現活動を展開。
2016年、ロンドンのStephen Friedman Galleryにて開催されたグループ展「HORIZON THAT APPEARS OUT OF THE SLEEPY WOODS」に参加し、海外からの注目を集める。
2021年、Yutaka Kikutake Gallery(東京)にてグループ展「youth(仮)」に参加。若手アーティストとしての存在感を高める。
2023年、HARUKAITO by island(東京)にて個展「COCOONの中で暴れる光」を開催。支持体や空間を拡張したインスタレーション表現で高い評価を得る。
谷口の作品には、物語の途中のような場面が描かれています。動物たちは語らず、文字は呟きのように現れ、空間は一つの風景として立ち現れます。
どこかで見たような、けれど確かに“知らない場所”。その曖昧な距離感が、観る者の想像を促します。
・背中に“家”を乗せた動物たち
馬やうさぎが自らの背に“家”を背負い、移動する存在として描かれる。それは“帰属”と“漂泊”をめぐる詩的象徴。
・モチーフと空白のあいだに宿る物語性
線描と余白、ことばと構図がせめぎ合うことで、描かれていない“物語の背景”が静かに立ち上がる。
・ドローイング、立体、インスタレーションの往還
支持体は紙だけでなく空間へと広がり、観る者を“物語の中”へと誘う没入的な構成が特徴。
・言葉の断片がもたらす心理的余韻
タイトルや作品内の文字は詩のように抽象的で、読む者の内面に応答するような感覚をもたらす。
●《COCOONの中で暴れる光》(2023)
“繭”をテーマにした空間インスタレーション。地階から吹き抜けへと支持体が広がり、光と空間の境界が撹乱される。
●《I+GO+HOME+ALONE》(2024)
“孤独に帰る”を主題に、家を背負う馬や車をモチーフに展開。空間と心象が交錯する展示。
●《My country road》(2021)
故郷や個人的記憶を題材に、道を歩く馬や兎が静かに描かれる。言葉と絵が詩のように交差する。
●《HORIZON THAT APPEARS OUT OF THE SLEEPY WOODS》(2016)
“眠る森から現れる地平線”を題材に、海外で発表された初期の重要作。
谷口正造の作品は、ナラティブな空間演出と詩的なモチーフ選びによって、美術館やギャラリー関係者を中心に注目を集めています。
現代の若手アーティストとしては、国内外の展示歴・メディア掲載ともにバランスよく、将来的な伸びしろも大きく評価されています。
● ドローイング・小型平面作品:10万〜25万円前後
● 中型ペインティング作品・展示出品作:30万〜60万円前後
● 立体作品・空間設置型インスタレーション:応相談(規模と仕様による)
空間を活かす展示が特徴的なため、ギャラリー・店舗・建築空間とのコラボレーションでも高い適性を発揮します。
谷口正造の作品は、物語を語るのではなく、“語られない物語”を観る者の内側に宿らせます。
そこに描かれた馬やうさぎ、家や道は、どこか自分自身の投影のようでもあり、“いまこの場所から遠くへ行く”という希求を思い出させてくれます。
支持体を超えて空間へと広がる表現は、詩の一節のように静かで、そして確かな意志をもっています。
谷口の世界に触れるとき、私たちはいつの間にか“帰れない場所”ではなく、“帰りたい場所”について考え始めるのです。
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