アウグスト・ザンダー(1876–1964)は、ドイツ出身の写真家で、20世紀の肖像写真を代表する存在です。彼の代表作「20世紀の人間たち(Menschen des 20. Jahrhunderts)」は、社会のあらゆる階層や職業の人々を分類し、誠実かつ客観的に記録した壮大な肖像写真プロジェクトとして知られています。
1876年、ドイツ・ヘルドルフ生まれ。少年時代から炭鉱で働きながら写真に興味を持ち、16歳で写真家助手を経験。1901年リンツの写真スタジオ勤務後、1904年に独立。1909年にケルンで新スタジオを開設。ナチス政権下での弾圧を受けつつも、多くの写真を残し続けました。
1920年代より本格化したこのプロジェクトは、農民、職人、女性、芸術家、都市住民、ホームレスなど多様な社会階層の人々を撮影。被写体は自然な姿で大判カメラの前に立ち、その内面や役割が映し出される肖像写真を制作。1929年に写真集『時代の顔(Antlitz der Zeit)』を刊行し代表作60点を発表。
ナチス政権下で写真集回収やネガ破壊の被害を受けるが、多くの写真は戦火を免れる。4万点以上の人物写真を残し、単なる肖像を超え社会学的・歴史的資料としての価値が高い。2002年には約650点収録の決定版写真集が刊行され、現代ポートレート写真の重要資料として世界中で研究されています。
アウグスト・ザンダーは、社会の多様な人間像を体系的に記録し、20世紀の「時代の顔」を後世に伝える写真家です。彼の作品は芸術性のみならず、社会学や歴史学においても貴重な資料として高く評価されています。
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